2011年8月30日火曜日

フリーザーの怪

8月のある日

念願のフリーザーを買った。

アメリカの家庭では、冷凍冷蔵庫の他に、冷凍庫(フリーザー)を持っている
家庭が少なくない。
肉食が中心であるせいか、ここアイダホでは、牛肉を半頭分、という単位で
買い求めて、目的別にミンチやステーキ用、ロースト用等小分けにして保存
している家庭が結構ある。

我が家も、生鮮食料品の保存のために、冷凍冷蔵庫以外にフリーザーが
ひとつ欲しいと思っていた。

夏場の家業である、ファイアー・ウォークス(花火販売)で、少し経済的に
余裕が出た事もあって、近くのお店にフリーザーを見に行った。

Robは、とても主夫向きの人で、(私がそう思っているだけかもしれないが)
店の安売りのチラシや、リサイクル品のホームページなどを、常々よく
チェックしている。

何処のタマゴが安くて、何処のミルクを買いに行けば得かをちゃんと
わかっている。それも、ただ安いだけじゃなく、そこに行くのに使う
ガソリン代と比較して、賢く買い物に出かけるのだ。

言葉の壁により、本来の主婦である私のハンディーをもろともせず
ひょうひょう淡々としている。

さすが!我が愛すべきハズバンド。

フリーザーの話に戻るが、フリーザーコーナーの並びに、予算と大きさに
合うものを見つけた。新品だが、中の電球が切れて新しくつけなおした
というもの。機能的には全く問題ないらしい。ただ、同格のフリーザー
より、幾らか安くなっていた。

配達手数料を節約して、車の荷台に積み、子供達も一緒に自宅へ運び
入れて地下のパントリー(食品庫)に設置した。

パントリーには、多くの保存食品が備蓄してある。
この一年、台所を預かる主婦として、私はケチケチ賢く、食品を貯めて
来たのだ。
此処には、日本から送ってもらった貴重な食べ物も置いてある。

私達教会員は、以前から水や食料の備蓄を奨励されて来た。
最近は大きな地震や、予想もしない災害も世界中で起こっていて、この
教えは理にかなっていると思う。

災害だけでなく、経済困難にもある程度役立ってくれる事だろう。


我が家のパントリー(食品庫)の様子


缶詰類。ポークビーンズ、コーン、グリーンビーンズ
ビーフシチュー、スープ、果物類、などなど。
金属のシェルフの棚に種類別に並べてある。
安売りの時などに、まとめ買いしている。



シリアル類、小麦粉、砂糖、塩、スパゲッティーなどのパスタ類
マヨネーズ、ピーナツバター、ドレッシング、マスタード、シロップ
マッシュポテト、サラダオイル、酢、ケチャップなど。




我が日本の食品類!魚の缶詰、かつを節、カレー、漬物の素 ふりかけ、麦茶、干ししいたけ、わかめ、ひじき、切干大根  など。

さて、フリーザーは、これら食品の並ぶシェルフと同じ一角に
設置された。


電源を入れるのが待ち遠しい!

でも、横にして運んだので、フリーザーの中のガスが安定するまで
24時間は電源が入れられない。その夜はウキウキ気分で床についた。


凍らない!?

次の日を待ちかねて、フリーザーを稼動し、一階の冷凍冷蔵庫の中から
凍っている肉やハム、冷凍野菜などを新しいフリーザーに移動した。
常温の物は、様子を見ながらフリーザーの負担にならないよう徐々に
移すつもりだった。

フリーザーの異常に気づいたのは、その日の夜。

移動した時から凍っていたはずの肉類が、やや柔らかくなっている?
Robが、温度設定に異常がないかを調べ、一番低温に設定しなおして
くれた。

翌日、更に異常は顕著になった。

おかしい。。。

Robは、「お客様センター」に電話して、事の詳細を相談した。
月曜日、調査員の人が来てくれる事になった。

でも、月曜日まで、まだ3日もある。
私は、冷凍食品の鮮度がひたすら心配で、やむを得ず移した食材を
再度、冷蔵庫の冷凍室に詰め込めるだけ詰め込んだ。

月曜日、夕方まで待ったが、フリーザーの調査員はやって来なかった。
Robが、再度「お客様センター」に電話すると、なんと訪問は2週間
先の月曜日だという。

え?冷蔵庫?!

しびれを切らしたRobは、購入した店に電話した。
対応した店員さんが、私達の購入記録を調べてくれた。すると、、、

「お客様の購入された品は、フリーザーではなく冷蔵庫です。」

という、耳を疑うような返答が返って来た。

とうとう怒りが頂点に達したRobは、

「私達家族はフリーザーを買いに行ったんだ!それなのに冷蔵庫だと?
フリーザーコーナーに並んでいて、そう説明も受けて、見掛けも何処
から見てもフリーザーに見える。よし!わかった。これはそちらで引き
取りに来て、お金も返してくれ!」と言った。

店員さんは平謝りで、マネージャーに相談して返事します。との事
だった。

店の閉店時間まで、あと3時間。せめて誠意ある返答が返って来れば
店の過失を必要以上に責めるのはやめよう。と、Robと話し合った。

閉店時間。ついに電話はかかって来なかった。


フリーザーのつもりで購入した冷蔵庫。溶けた肉類の血が滴っている。




販売店へ

次の日早く、Robは、消費者を護ってくれる弁護士さんの所へ電話をかけた。
もしも、誠意ある対応をしてもらえなかった場合に、消費者に替わって店に
保障や返金などの交渉を行ってくれる無料の弁護システムがあるのだそうだ。

そして、私達は、販売店に直談判に出かけた。

どうして今日まで販売店に出向かなかったのかというと、実はフリーザーを
買いに行った時に対応してくれた店員さんが、Robの古くからの知り合いで、
Robが直接店に出向く事で、あまり話を大きくしたくなかったからだ。

その店員さんだって人間だし、誰だって間違う事はある。
この事で彼の立場が窮地に追いやられるのではないかと、実は私達は内心
心配していた。

しかし、この数日私達は十分待った。
Robは一家の主だし、家族を護らなければならない。このままで済ませる事は
できなかった。

販売店に着くとRobと私達はまっすぐにマネージャー室へ向かった。
受付で、マネージャーさんに取り次いでもらい、程なくマネージャーさんと
会う事ができた。

色白で痩せ型タイプの、まだ若い男性だった。

Robは、堰を切ったように、この数日間の経過と私達の状況を話し出した。
この店に来た時の事から、フリーザーでなはないと聞かされた時の気持ち
この店や、お客様センターの対応、大切な食品が台無しになった事、
家族を食べさせて行かなければならない事等、切々と訴えた。

もし、誠意ある対応、保障をしてもらえない場合は訴える用意がある事も
はっきりと相手に伝えた。

マネージャーさんは身じろぎもしないで、ただ聞いていたが、少しの間退席し
また戻ってきて、店としての誠意を示してくれた。


フリー・フリーザー

結局、店としては、最新型のフリーザーと我が家に運んだフリーザーならぬ冷蔵庫
を取り替えてくれる事になった。

価格は買った冷蔵庫の倍。でも、溶けた食品の保障額も含めて、この最新型
フリーザーをフリー(無償)でくれる事になった。

この対応で、怒りと切なさで険しい顔だったRobにも笑顔が戻った。


最新型のフリー・フリーザー。チーズ、バター、ハム、鶏肉、牛豚肉
ミンチ肉、冷凍野菜、パン類などが沢山保存されている。


裏庭に置いてある、大型のバーベキューグリル。今回のフリーザー事件で
浮いたお金で買った。
手入れもカンタンで、扱いやすい。最近は時々ここで夕食を摂っている。

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